研究概要 |
Fe-(Al, Ga)-(P, C, B, Si)系及びFe-Si-B-Nb系金属ガラスについて、密度、飽和磁化、保磁力及び磁歪の関係を調査した。その結果、金属ガラスは比較的磁歪は大きいものの、金属ガラスの方が従来のアモルファス合金よりも低い保磁力を示すことを明らかにした。また金属ガラスは同組成の結晶質合金との密度の差(Δρ)が小さい、すなわち、ガラス相中に含まれる自由体積が少ないことを明らかにした。 上記の実験結果をquasi-dislocation dipole(QDD)型欠陥モデルに基づいて理論解析を行い、金属ガラスの低保磁力の起源について検討した。その結果、金属ガラスも従来のアモルファス合金も磁壁のピンニングサイトとして働くQDD型欠陥のサイズはほぼ同じであること、及び金属ガラスとアモルファス合金の保磁力は(Δρ)^<1/>2に比例することを明らかにした。これらの結果より、金属ガラスが低保磁力を示す原因は、金属ガラスの方がガラス相中の自由体積が少ないためにQDD型欠陥の数密度が低いためであることが分かった。またFe-(Al, Ga)-(RC, B, Si)系及びFe-Si-B-Nb系を比較すると、Fe-Si-B-Nb系の方が低い保磁力を示し、かつ飽和磁化が大きいことが分かった。 更に、フラックス法によるFe-Co-Ga-P-C-B金属ガラスの過冷却に関する基礎的検討を行い、B_2O_3-SiO_2フラックス中において200〜250Kの過冷却に成功した。また大過冷却液体の凝固において、結晶相の成長速度が著しく遅いことを明らかにした。
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