研究課題/領域番号 |
16040203
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
白井 肇 埼玉大学, 工学部, 助教授 (30206271)
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研究分担者 |
長谷川 靖洋 埼玉大学, 理工学研究科, 助手 (60334158)
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キーワード | マイクロプラズマジェット / シリコンナノコーン / ナノチューブ / 金属コートシリコン / ナノクラスター / 体積膨張 / 局所短時間加熱 |
研究概要 |
本研究は、大気圧マイクロ熱プラズマジェットを局所領域に生成、集積化し、これらのプラズマ源を用いてアモルファスシリコン(a-Si)薄膜の短時間結晶化およびシリコン・炭素系ナノ構造形成への応用を通じて、その機構解明を行った。マイクロプラズマによるシリコン、炭素系材料形成に関する研究は、これまでに微粒子の合成、エッチングが主体であった。しかし高温プラズマジェットによる表面改質に基づいた物質設計についての検討はほとんど報告がない。本研究では、短時間局所加熱による溶融状態からの冷却過程を利用した物質構造制御を目的に、針状シリコンナノ結晶(SNC : Silicon nanocones)、ナノチューブ(CNT)等シリコン・炭素系ナノ構造の形成とa-Si再結晶化機構の解明および新規物性の発現を目的とした。これらの成長機構を分光エリプソメトリー(SE)、反射率・コンダクタンスの実時間その場計測を通して明らかにすることを目的とする。 大気圧マイクロ熱プラズマジェットを生成し、プラズマ診断を通して(1)a-Si膜の短時間結晶化および(2)シリコン・炭素系ナノ構造の形成に応用した。RF、VHF電力、ガス流速を変数としてプラズマパラメータ、で(電子密度、電子温度、ガス温度、励起温度)を発光分光法により評価した。その結果電子密度:10^<15>cm^<-3>、励起温度:4000-8000K、ガス温度1100-1400℃に及ぶ超高密度プラズマであることがわかった。特にガス温度の上昇にともない、電極直下領域の温度は1400℃まで数ミリ秒の時定数で上昇し、SNC形成、アモルファスSi膜の短時間結晶化が可能であることがわかった。(1)では、基板ステージ速度およびArガス流量の制御により高結晶化度を有するSi膜の形成を実現し、TFT移動度30-55cm^2/Vsを得た。また太陽電池素子へ適用し、FF:0.45、変換効率:5.5%を得た。a-Siレーザー再結晶化に替わる技術としての展開が期待される。一方(2)では、CH_4/Ar系からFe/c-Si基板上にシリコンナノコーン(SNC)の高密度形成に成功した。外部からのCH_4供給はガス温度を上げ、基板表面温度は1400℃に達し、局所加熱効果を促進する。その結果FeSi_xナノクラスター形成、体積膨張および粘性流がSNC形成、a-Si膜の再結晶化を促進する。
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