研究課題
液体中に分散された金微粒子に対して、微粒子が吸収する波長のパルスレーザーを照射すると、微粒子近傍がプラズマ状態になる。我々は、このようなプラズマ状態が、まったく新しい化学反応場になること見出した。コロイド状微粒子の保護剤としてSDS(硫酸ドデシルナトリウムC_<12>H_<25>SO_4Na)を用いた場合、化学合成や光化学反応の常識では官能基の部分(-CH_2OSO_3^-)が最も反応をうけやすいサイトであるにもかかわらず、レーザー照射によって炭素鎖が切断される現象を核磁気共鳴法によって見出した。また、別の保護剤としてPVP(ポリビニルピロリジノン(C_6H_9NO)_n)を用いた場合は、レーザー照射領域のみ粘張な固形状物質が生成した。PVP分子間に化学結合が生じ重合した結果、新たなPVP高分子が生成したためと考えられる。さらに、微粒子のごく近傍でのみ反応が進行することを確認するために、ナノ反応場とタンパク分子の相互作用の実験を行った。リゾチームは、等電点が11であるので、溶液のpHを11にすると、アミン基とカルボキシル基の部位が中和され、溶解度が減少する。金微粒子の分散液にリゾチームを添加し、pHを11にすると、リゾチームが金微粒子の周囲に凝集する。そこで、金微粒子に対してパルスレーザーを照射すると、リゾチームが分解されることがわかった。一方、溶液のpHを4にすると、リゾチームは均一に溶解する。この条件で、金微粒子に対してパルスレーザーを照射すると、リゾチームがほとんど分解されなかった。っまり、反応は、金微粒子のごく近傍でしか起こらないことを示している。
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