研究課題
レーザ誘起プラズマは、微小な領域のみにプラズマを生成できることから、マイクロプラズマの研究に最適と考えられる。特にフェムト秒光パルスを発生するレーザは、高いピークパワーを持っており、レンズで集光すると高い強度の光が微小領域で得られる。従来フェムト秒光パルス光源としてはチタンサファイヤレーザが用いられてきた。しかし励起にアルゴンレーザや高出力の半導体レーザを必要とし大型で高価である。一方、光通信技術の発展に伴い、エルビウムドープファイバ増幅器が開発され、光通信用中継増幅器として盛んに用いられている。エルビウムドープファイバは数十nmの広い増幅波長帯域を持つため、超短パルスの発振器としても適しており、エルビウムドープファイバレーザに受動モード同期を行うと、100フェムト秒(fs)前後の超短パルスの発振をさせることができる。本研究では、エルビウムドープ光ファイバレーザで発生した超短パルス光を変調器により切り出して増幅し、高出力のフェムト秒光パルスを得、これを固体などに照射してマイクロプラズマを生成する。今年度はフェムト秒ファイバレーザシステムの改善を行い、マイクロプラズマ発生を実証することができた。受動モード同期8の字型Erドープファイバレーザにより発生させたフェムト秒光パルスの時間幅は昨年度の127fsから115fsに短縮された。また光変調器の偏光特性を解明し、効率の良い変調法を明らかにした。光変調器により切り出された超短光パルスの増幅をエルビウムドープ光ファイバ増幅器で行った。その出力をアモルファス炭素薄膜に照射し、直径10-15μmのマイクロプラズマの発生が得られた。今後の課題としてマイクロプラズマのより安定な発生、発光分光法などによる測定や、アブレーション過程の観察、フェムト秒パルスの非線形光学効果の検討などが挙げられる。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (2件)
International Quantum Electronics Conference/The Pacific Rim Conference on Lasers and Electro-Optics (IQEC/CLEO Pacific Rim)
ページ: 516-517
電気関係学会九州支部大会論文集
ページ: 244