研究概要 |
今年度は液体ジェットターゲットを開発することによって,直径10-100μmのターゲットを真空中に生成し,高繰返し実験を可能とすることによって,データの蓄積を図ってきた.その結果,ナノ秒レーザー生成プラズマからのイオン発生特性,プリプラズマ生成による電子温度の制御,レーザー干渉法によるプラズマ密度計測などを実施した.これまでに行われた研究によって得られた結果は,以下のように要約される. (1)ナノ秒レーザー生成プラズマからの高速イオン速度は,レーザー強度およびレーザー波長に対しν∝(Iλ^2)^<1/3>の相似則で説明できることを示した. (2)高速イオン数の価数は1-2価,最確速度に対応するエネルギーは3keVであることを観測した. (3)プリプラズマを生成することにより,高速イオンが減速することを観測した.これは電子温度が30eVから10eVに低下したことを示唆している. (4)高速イオンは,ターゲット法線方向に対してcosθの角度分布を持つことを観測した. (5)レーザー干渉法により,プラズマ密度の空間分布およびプラズマの膨張速度を観測した. (6)真空中で液滴ターゲットを生成した. (7)液滴ターゲットプラズマによるフェムト秒レーザーエネルギーの吸収過程を観測した.シングルパルスの場合は,共鳴吸収過程により説明できる最適パルス幅が存在することを明らかにした. これらの成果は,研究業績にあるように論文として発表または投稿している.
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