研究課題
プリオンは蛋白質性の感染因子である。プリオンでは、アミロイド様線維となった異常型プリオンが自己触媒的に正常型を異常型に転換する点が本質である。ということはプリオン線維の形成機構を知ることが重要であるが、従来の生化学的な手法では数多くの線維の平均を見るだけなので個別の情報が得られず、詳細を知るには限界がある。そこで本申請では、一個一個の正常型蛋白質が線維に取り込まれるようすやプリオンが細胞内で伝搬していくようすを「生きたまま」観察することを目的とする。材料としては安全で変異導入も容易な酵母のプリオン蛋白質Sup35を使う。16年度は、in vitro、in vivoの両面で進展があった。・in vitroあらかじめ緑(OregonGreen488)でラベルしたSup35線維をガラス板に固定してから、赤(Cy3)でラベルしたSup35単量体(10nM程度)を加えて、観察は1分子蛍光の検出が可能な全反射蛍光顕微鏡を用いて実時間で結果を記録した。その結果、全反射顕微鏡を用いて線維の成長を実時間で観察することに成功した。・in vivoプリオン株の酵母細胞内にSup35とGFPの融合蛋白質を発現させて、凝集を形成させて、そのプリオン凝集が細胞の成長に伴って、どのように変化するか、1細胞観察で追跡を行った。さらに、Sup35-GFPの大きさを生化学的に調べたり、蛍光相関分光法などで見積もった。
すべて 2004
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