研究概要 |
狂牛病やヒトのヤコブ病、アルツハイマー病をはじめ、近年、タンパク質の組織化・増幅現象としてタンパク質の3次元構造変化(ミスフォールディング)に起因したアミロイド線維形成に高い関心が集まっている。このような特性を有するタンパク質の立体構造形成および構造転移の原理を解明することは非常に重要であり、当該領域における研究は、水とペプチド・タンパク質が関わる新現象の発見やそれらの動的制御に有機的に結びつく。 本研究では、アルツハイマー病Aβペプチドの増幅や阻害などのアミロイド線維を制御する系の開拓を目的とし、開始した。これらの研究は、増幅系診断法や阻害系薬剤の開発につながると期待できる。また規則正しい線維構造はナノバイオ素材としても魅力的である。コア配列が配列相補的に組織化していく人工ペプチドのデザインと合成も実施した。 1.人工ペプチドによるAβアミロイド形成増幅 今回アルツハイマーAβペプチドの線維形成増幅を目的とした人工ペプチドを種々デザイン・合成し、アミロイド線維の増幅を可能にする人工ペプチドVF, LFの獲得に成功した。 2.人工RNAによるAβアミロイドの形成阻害 種々の合成ペプチドを用いたアミロイド研究の知見をもとに、Aβの線維化を阻害する人工RNAのSELEX法による選択を行い、Aβ42に選択的に結合するRNAアプタマーの獲得にも成功した。 3.人工ペプチド線維を利用したナノバイオ素材 上記の線維構造を有するペプチドの知見を基に、アミロイド線維上に金コロイドやタンパク質など機能性基を配置したナノバイオ素材を新規に合成した。
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