研究課題/領域番号 |
16041245
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研究機関 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(共通施設) |
研究代表者 |
永山 國昭 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (70011731)
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研究分担者 |
岡村 康司 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (80201987)
山崎 俊夫 独立行政法人理化学研究所, ゲノム科学総合研究センター, チーリリーダー (60273710)
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キーワード | 電子顕微鏡 / 蛋白質標識 / ラベル / 超分子多型 / 1分子計測学 |
研究概要 |
電子顕微鏡で蛋白質や蛋白質複合体(超分子)の構造を1分子毎に直接観察し、その構造多型をナノメートルスケールで研究する手法は確立していない。そもそも電子線損傷のため蛋白質1分子の構造をナノメートルの分解能で見ることは不可能である。云わゆる極低温電子顕微鏡を用いても構造分解能は2〜3nmを越えない。機能と連関させて超分子多型を観察するには少なくとも0.5nmの分解能を必要とする。このような互いに相容れない条件をみたす方法として新規電子顕微鏡ラベルを用いた新しい電子顕微鏡手法の開発を試みた。骨子は多量体構造を持つ超分子に反応性残基(システインなど)を導入し、その導入残基を通じて電子顕微鏡用ラベルを複数個(多量体数の整数倍)超分子表面に導入し、その多点ラベルを電顕的に観察する。超分子の構造変化が多点ラベルの相対距離に変化を与えればそれが観察され、間接的に多型構造が知れる。 本手法のモデル系として2つの巨大蛋白質、フェリチンとGroELを選び、予備実験を行った。フェリチンの表面の特定部位に電顕用ラベル標識を導入するため単量体にシステイン残基を遺伝子工学的に導入した。GroELはシステイン残基を各単量体が3個保持しているが、これらは表面になく標識困難であることがわかった。GroEL表面に新たにシステイシ残基を遺伝子工学的に導入し、金11個の原子よりなるウンデカゴールドの特異的標識を行った。ウンデカゴールドは予想通り表面に標識された。ウンデカゴールドは約1nmの直径を持つので、その中心で計れば距離計測は0.5nmの分解能を持つと予測され、現在観察を試みている。
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