研究課題
本年度の研究では、非病原性アミロイド線維を形成するウシ・βラクトグロブリンとそのペプチド断片、また、新たにヒト・メディンペプチド(こちらも非病原性)を材料にし、それぞれのアミロイド線維の立体構造に関する情報とその構築原理について、以下の手法により研究を行った。また、ケンブリッジ大学、クリストファー・ドブリン教授、ミカエレ・ヴェンドロスコロ博士と共同し、アミロイド形成に直接関与するアミノ酸配列領域について、予測プログラムの構築に関する研究を進めることができた。1)リジン側鎖の露出度アミロイド線維状態におけるリジン側鎖の露出度について、βラクトグロブリンを用いて検討した。その結果、以外にも線維中ではリジン側鎖の露出は、多くなく、一方、均質な修飾物がえられなかった。この結果から、アミロイド線維構造の不均一性が存在するか、リジン側鎖が分子内部に比較的よく埋もれていることが示唆された。2)継代的微量シーディングによる線維の均一化この研究を行うため、材料としてヒト・メディインのペプチド断片を用いた。これは、本ペプチドが7残基と比較的短く。構造均一性を保持することが可能と考えられたからである。しかしながら、予想に反し、メディインのペプチドの線維形成速度には、非常にばらつきがあり、且つ、シーディング効果も制御しづらいことが分かった。つまり、本ペプチドのアミロイド線維形成において、構造不均一性は、そのエネルギー地形にとって、本質的な性質であることが示唆された。現在、この予想の信憑性について、X-線繊維回折などを利用し、解析することを計画している。
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