NK細胞レセプターファミリー分子は、ウィルス等の病原体とともに進化してきたと思われたが、さらに解析を進めることによって、その中には、非常に発現が限られた特殊な自己抗原を認識するものがあることが判明してきた。特に、私どもが新規にクローニングしたPILRはNK細胞や樹状細胞に発現が認められるが、そのリガンドはヘルパー2型細胞への分化過程においてのみ一時的に発現するユニークな新規分子であることが判明した。そこで、本研究ではPILRの機能解析およびそのリガンド検索を行なった。その結果、PILRのリガンド発現細胞はNK細胞や樹状細胞を強く活性化することが明らかになり、ヘルパーT細胞による抗原提示細胞の機能制御に重要な機能を担っていることが考えられた(Shiratori et al.J.Exp.Med.2004)。このように、NK細胞レセプターファミリー分子は、単に、NK細胞のエフェクター分子として重要であるばかりでなく、免疫応答の制御に深く関与していると考えられた。さらに、PILRについて、解析を進めた結果、新規のリガンド分子PILR-L2-L4をクローニングした。この研究により、ヒトおよびマウスのPILRリガンドがほとんど明らかになったと思われる。さらに、PILRによるリガンド認識機構を解析したところ、特殊な糖鎖修飾がリガンドの認識に関与していることが明らかになった。さらに、PILRの生体内での機能を明らかにするためにPILR欠損マウスの樹立に成功した。そこで、PILRの生体内での機能を明らかにするために、PILR欠損マウスを用いて解析を進めるとともに、PILRによるリガンド認識機構の解明を進める。また、好塩基球の機能を制御するペア型レセプターとしてCD200レセプターが重要であることを明らかにした(Shiratori et al.J.Immunol.2005)。
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