ペア型レセプターは、ウィルス等の病原体とともに進化してきたと思われたが、さらに解析を'めることによって、その中には、非常に発現が限られた特殊な自己抗原を認識するものがあることが判明してきた。特に、私どもが新規にクローニングしたPILRはNK細胞や樹状細胞に発現が認められるが、そのリガンドはヘルパー2型細胞への分化過程においてのみ一時的に発現するユニークな新規分子であることが判明した。そこで、本研究ではPILRの機能解およびそのリガンド検索を行い、ペア型レセプターの免疫監視における機能を解析した。その結果、PILRのリガンド発現細胞はNK細胞や樹状細胞を強く活性化することが明らかにした(Shiratori et al.J.Exp.Med.2004)。さらにT細胞上に発現するリガンドを解析したところ、リンパ球の活性化制御分子を認識することを明らかにした(PCT出願:PCT/JP2007/053558)。また、PILRのリガンド認識には特定の糖鎖修飾が関与していることを明らかにした。特に、特定の糖転移酵素の存在により認識が大きく影響されることを明らかにした。PILRの生体内での機能を明らかにするためにPILR欠損マウスの樹立に成功した。また、好塩基球の機能を制御するペア型レセプターとしてCD200レセプターが重要であることを明らかにした(Shiratori et al.J.Immunol.2005)。好塩基球はアレルギー疾患の発症とも関与していると考えられるが、本研究によりアレルギー疾患の制御のための新たな標的分子が明らかになった。
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