研究課題/領域番号 |
16043261
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
竹森 利忠 国立感染症研究所, 免疫部, 部長 (60114295)
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研究分担者 |
高橋 宜聖 国立感染症研究所, 免疫部, 主任研究官 (60311403)
橋本 修一 国立感染症研究所, 免疫部, 研究員 (60342896)
加地 友弘 国立感染症研究所, 免疫部, 研究員 (70370963)
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キーワード | 記憶B細胞 / 生存維持 / SMN / AIF / ミトコンドリア / 呼吸鎖複合体 / Ras / 抗原受容体 |
研究概要 |
1.脊髄性筋萎縮症(SMA)の原因遺伝子となるsurvival of motor neuron(SMN)遺伝子は、造血細胞にも発現し、特に胚中心及び記憶B細胞で強く発現する。SMNを低レベルで発現するB細胞株にSMNを強発現させるとアポトーシスに対する抵抗性が増強することから、SMNはB細胞の生存維持に関与する可能性が示唆された。事実、SMNをB細胞で欠損するマウスでは、Ig陽性B細胞の維持及び胚中心記憶B細胞反応が強く抑制される。SMNに結合する蛋白質をプロテオミクスの手法を用いて検索し、この結果SMNはこれまでに知られているsnRNP複合体の他にexon2b及びexon6を介してアポトーシス促進因子(AIF)と結合しミトコンドリアに局在することを明らかにした。ミトコンドリア呼吸鎖複合体の維持にはAIFが関与することが示唆されているが、本研究において、SMNもミトコンドリア呼吸鎖複合体の維持に関与することが推察された。これらの結果は、B細胞においてSMN-AIFの複合体がミトコンドリアの機能の制御を介して細胞死抵抗性に関与する可能性が推察された。 2.Rasは骨髄でのproB細胞からpreB細胞の分化に関与し、Ras活性の抑制により抹消でのtransitional B細胞と濾胞(Fo)B細胞数の減少が誘導される。しかし、RasはFo B細胞及び辺縁帯B細胞の生存維持には関与せず、またT細胞依存性抗原刺激後の胚中心B細胞、記憶B細胞の産生にも関与しない。しかしRasの機能の抑制により記憶B細胞の最終分化は著しく抑制され、この結果はRasが記憶B細胞の機能発現に重要な役割を果たすことを明らかにした。更に、記憶B細胞に高発現するシグナル伝達分子を同定し、この分子のIgM B細胞への導入は抗原受容体刺激後の抗体産生を著しく増強させることを明らかにした。
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