研究課題
1.記憶B細胞で発現増殖する遺伝子群を同定し、このうち4010遺伝子についてB細胞株に導入しIgM/CD40の共刺激を行ったところ、高レベルの遺伝子発現によりIgG抗体産生能が著しく増強する事が明らかとなった。この結果から,4010遺伝子産物が記憶B細胞再刺激での迅速で強力な抗体産生の誘導に関連する可能性を考え、B細胞でコンディショナルに遺伝子を欠損する変異マウスの作製を行った。2.記憶B細胞で発現増強し、B細胞株での高発現により細胞生存の延長を賦与するsurvival of motor neuron gene(SMN)についてその作用機序を生化学的方法を用いて検討した。この結果、SMNはミトコンドリア内でアポトーシス増殖因子(apoptosis inducing factor ; AIF)と結合し、抗酸化ストレス作用を賦与し細胞生存の延長を進める可能性を明らかにした。更にSMNはミトコンドリア呼吸群複合体にAIFを介して結合し、ミトコンドリアの酵素活性を増強を賦与する可能性を明らかにした。3.記憶B細胞で発現増強する一群の遺伝子を種々の分子生物学的方法を用いて同定した。これらの遺伝子の発現の免疫後の記憶B細胞、胚中心B細胞、抗体産生細胞での経時的な変動をQPCRより解析し、その変動に応じて各クラスターに分別した。これらの発現遺伝子群から、記憶B細胞系列に特有となる遺伝子マーカーを選別し、免疫後初期に産生される抗原特異的に産生するB細胞亜群の遺伝子型をFACS、QPCRを併用して解析した。この結果、記憶B細胞あるいは胚中心B細胞への系列決定は少なくとも免疫後5-6日に終了し、この後記憶B細胞の機能的な発達と免疫グロブリン遺伝子に体細胞変異が蓄積されることが示唆された。また、記憶B細胞はAIDを発現し、この細胞自身が体細胞変異を蓄積する可能性が支持された。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Nature Immunol. 8
ページ: 206-213
J. Immunol. 177
ページ: 5928-5935