本研究では、平成16年度に、(A)セクレトグラニンIIIとカルボキシペプチターゼE(CPE:分泌顆粒への選別受容体の一候補)の相互作用機序(B)セクレトグラニンIIIが、ペプチドホルモンの普遍的な選別受容体として機能する可能性、(C)分泌顆粒膜が高濃度のコレステロール組成を成すメカニズム、を解析検討した。 (A)セクレトグラニンIIIとCPEの相互作用機構 申請者は、電子顕微鏡下で同一の分泌顆粒中にセクレトグラニンIIIのみ集中しているマイクロドメイン、CPEのみ集中しているマイクロドメイン、セクレトグラニンIIIとCPEが混在しているマイクロドメインが存在する像を観察した。この形態学的観察を裏付けるために、セクレトグラニンIIIとCPEが結合することを生化学的解析で実証した(論文投稿中)。 (B)セクレトグラニンIIIが、ペプチドホルモンの選別輸送として機能する可能性 CPE欠損マウスを用いて、セクレトグラニンIIIの役割について解析した。セクレトグラニンIIIは、ペプチドホルモンの選別輸送として機能していることを見いだした(論文投稿中)。 (C)分泌顆粒膜が高濃度のコレステロール組成を成すメカニズム 申請者は、これまでセクレトグラニンIIIが、高コレステロール濃度の脂質組成をもつ分泌顆粒膜と直接結合することを示した。申請者は、分泌顆粒膜のコレステロール集積メカニズムが、選別輸送を理解する上でのカギになると考え、分泌顆粒膜を精製し、膜上に局在する脂質代謝関連タンパク質群をマススペクトル法により解析した、分泌顆粒膜のコレステロール集積に関与するタンパク質候補を選定した。
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