研究概要 |
神経内分泌細胞では、ペプチドホルモンや神経ペプチドは、トランスゴルジネットワークから分泌顆粒に選別輸送されて、貯留され、細胞外刺激により分泌される。本研究では、グラニンタンパク質(クロモグラニンA,B、セクレトグラニンII,III)が分泌顆粒に特異的に局在することから、その選別機構の解明を通してペプチドホルモンの選別機構の解析を行っている。これまでセクレトグラニンIIIは、分泌顆粒膜と直接結合し、クロモグラニンAを分泌顆粒へ運ぶ選別受容体として機能することを示した。 平成17年度には、1)セクレトグラニンIIIとカルボキシペプチターゼE(CPE:分泌顆粒への選別受容体の一候補)の相互作用機序と、2)セクレトグラニンIIIが、ペプチドホルモンの選別受容体として機能する可能性、を解析・検討した。 申請者は、電子顕微鏡下で同一の分泌顆粒中にセクレトグラニンIIIのみ集中しているドメイン、CPEのみ集中しているドメイン、セクレトグラニンIIIとCPEが混在しているドメインが存在する像を観察した。この形態学的観察を裏付けるために、セクレトグラニンIIIとCPEが結合することを生化学的解析で実証した。解析の結果、セクレトグラニンIIIはCPEと分泌顆粒内環境である高カルシウム・酸性条件下で結合した。またCPE欠損マウスを用いて、セクレトグラニンIIIの局在、ペプチドホルモンの選別輸送について検討したところ、セクレトグラニンIIIはCPE非存在下でも顆粒膜直下に局在し、ある種のペブチドホルモンの選別輸送受容体として機能していることを見いだした。さらにセクレトグラニンIII、CPE、クロモグラニンAのペプチドホルモン選別輸送での関係を調べたところ、ペプチドホルモンはセクレトグラニンIIIやCPEにより分泌顆粒へ選別され、その後、クロモグラニンAと凝集体を構成することが明らかとなった。
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