研究課題/領域番号 |
16044209
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村田 昌之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50212254)
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研究分担者 |
西川 喜代孝 国立国際医療センター研究所, 臨床薬理研究部, 室長 (40218128)
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キーワード | セミインタクト細胞 / GFP / 小胞体 / ゴルジ体 / Vero毒素 / エンドサイトーシス / エキソサイトーシス / 可視化 |
研究概要 |
Vero毒素(O-157毒素)は細胞のエンドサイトーシス経路によって細胞内に取り込まれ、リソソーム経路を回避しながらゴルジ体へと移行し、さらに分泌経路を遡り小胞体(ER)内へ移行する。そして、小胞体内腔から毒素活性のあるAサブユニットが細胞質へ移行することで毒性を発揮する。本年度は、生細胞にて、その輸送経路全行程を可視化する系を構築できた。先ず、大腸菌により発現させたVero毒素の精製し、市販の低分子蛍光色素(例えば、cy5)と反応させ、Cy5標識毒素を調製した。この標識毒素の受容体結合能はインタクトの毒素とほぼ同じで有ることを検証した。次に、その受容体を持つVero細胞を用い、細胞内への毒素の移行過程を次の4つの素過程に分けて可視化解析するシステムを構築した:1.細胞膜受容体と毒素の複合体の取り込み過程、2.初期エンドソーム・後期エンドソーム移行過程(各エンドソームマーカーとの共局在化の検定を含む)、3.後期エンドソーム-ゴルジ体移行過程(ゴルジ体マーカーとの共局在化の検定含む)、4.ゴルジ体→小胞体輸送過程(小胞体マーカーとの共局在化の検定を含む)。この輸送過程のキネティックスの可視化解析結果より、受容体に結合したVero毒素は、3〜5分以内の早い時間で細胞内の初期エンドソーム様オルガネラに取り込まれ、取り込まれてから、30分以内にゴルジ体に移行し、その過程を律速段階として取り込み後30〜60分でゴルジ体から小胞体へと輸送されることが判った。毒素の小胞体への移行は、細胞分画を用いた生化学的手法では予想されていたものの、われわれの可視化によってその小胞体への移行を形態学的に証明することができた。興味深いことに、エンドソームに取り込まれた毒素の多くの部分が、リサイクリング経路に乗り形質膜へ速やかの戻されていることが観察された。
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