研究概要 |
2年計画の一年目の本年度は、以下の研究を行った。 1)ミオシンVとシンタキシンのカルシウム依存性結合を詳細に解析し、原子間力顕微鏡による結合部位を確定した。また原子間力顕微鏡を用いたこの複合体の観察方法をほぼ確立した。この結合はミオシンVのneck domainで生ずるという、きわめてユニークな性質を持ち、結合のカルシウム依存性はカルシウム依存性にneck domainからのカルモジュリン遊離が起こるという既知の事象と、リンクしていることを証明した。この結合はミオシンVの運動性それ自体は変化させないことを確認した。また抗neck domain抗体の細胞内導入によって、この相互作用は小胞の供給過程に関与することを解明した。以上の結果は、シンタキシンとミオシンVの結合が、開口放出時の小胞サイクリングに深く関わっていることを示している。また開口放出の調節に関与する直接的な証拠と考えられる。 2)CaMKII結合能が低い変異R151Gを入れたシンタキシン1A,1Bのノックインマウスを作成中であり、ターゲッティングベクターはシンタキシン1A,1Bとも完成した。1Aについては、導入ES細胞のスクリーニングにも成功してマウスを作成中である。1Bについては、現在、スクリーニングの継続を行っており、確認作業に入っている 3)CaMKIIとシンタキシンとの結合がシンタキシンの立体構造の調節を介していることを証明するため、これをパルスESRで解析可能とするため、いくつかの変異体を作成した。 4)シンタキシンに関する非神経型アイソフォームとミオシンVの相互作用を解析し、ある種の非神経型シンタキシンには神経型と同様、ミオシンV結合能を有すると思われる結果を得た。
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