研究概要 |
まず、ほ乳類で同定されているゴルジ体タンパク質の遺伝子群の中で特にゴルジ体の高次構造維持に関わると思われるもの(golgins、GM130、GRASP65、COGタンパク質群など)、また酵母を含めて広く真核生物で保存されているもので解析ツールとして重要なもの(N-アセチルグルコサミン転移酵素、COPI,COPII、SNARE等やFinGERタンパク質等)を選択し、ゼブラフィッシュ・ゲノム・プロジェクトのデータを検索し、相同遺伝子の探索を行った。GM130、GRASP65の相同遺伝子の存在を確認し、遺伝子配列情報をもとに、RT-PCRでクローニングを開始した。次に、ゼブラフィッシュ培養細胞ZF-4に、遺伝子発現ベクターであるpcDNA3を用いてN-アセチルグルコサミン転移酵素とGFPの融合タンパク質遺伝子を導入し、タンパク質を発現させたところ、典型的なゴルジ体用のGFP蛍光像が観察され、このタンパク質がゴルジ体へ局在することが確認された。したがって、この遺伝子発現系をゼブラフィッシュ卵に導入して、ゴルジ体を蛍光標識したゼブラフィッシュを作成できることが示された。一方、共同研究者・酒井より、ゼブラフィッシュの飼育手法を導入し、研究室内でゼブラフィッシュの飼育ができるシステムの構築を行うとともに、飼育技術の習得を行った。産卵された卵の約60%以上の成魚への飼育に成功し、トランスジェニックゼブラフィッシュ作成に必須の技術が習得できた。次に、マイクロインジェクションによる卵への遺伝子導入の手法を習得し、N-アセチルグルコサミン転移酵素とGFPの融合タンパク質遺伝子を導入したところ、原腸陥入期頃までには発現が見られないこと、また、原腸陥入期以降に発現が見られることが明らかとなった。
|