研究概要 |
我々は、皮膚科医として、眼皮膚白皮症(oculocutaneous albinism, OCA)、あるいはOCAに出血傾向や間質性肺炎などが合併するHermansky-Pudlak症候群(HPS)の研究を通して、メラニン合成およびメラノソームの生合成およびその制御機構を解析してきた。 今回は臨床的アプローチとして、OCAとHPSの症例の蓄積に努め、その遺伝子診断と詳細な症状の解析を行った。その結果、 1)日本人におけるHPSについては、その疾患頻度の低さにより、多くの点が未知である。そこで我々は、臨床的には単純型白皮症と診断されている日本人白皮症患者において、HPS患者がどの程度含まれているかを検討するために、原因遺伝子が未確定の症例24例のHPS1遺伝子の変異スクリーニングを行ない、日本人白皮症患者全体の約10%がHPSである事を見出した。 2)日本人眼皮膚白皮症患者において主要病型の1つであるOCA4型患者において、もっとも存在頻度が高いD157N変異アリルのハプロ解析を行い、D157N変異アリルを持つ患者は共通の先祖に由来する事、また、創始者効果の存在を証明し、それによって存在頻度が高くなったことを示した。 また、HPS4産物とOCA4産物の各分子が細胞内で形成する複合体のパートナーの検索については、HPS4産物のパートナーであるHPS1産物にタグをつけた融合タンパクの安定発現細胞を樹立し、プロテオーム解析により、新たなパートナー分子を検索した。
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