研究概要 |
1.PpAtg24の生理機能とPXドメインの生化学機能(Mol.Biol.Cell, 2005) メタノール資化性酵母ペキソファジー過程におけるPpAtg24の局在、遺伝子破壊株の性質、野生株を用いた膜動態解析から、ペキソファゴソームと液胞の融合が、従来、考えられていたような一点で起こるのではなく、"面"で起こることを初めて明らかにした。PpAtg24は、この面で起こる膜融合反応を制御し、vertex領域と呼ばれるミクロドメインに局在していた。PXドメインはPI(3)Pに特異的結合を示したが、PpAtg24はPI(3)Pへの結合能により膜融合を制御していることを明らかにした。 II.PpAtg26の新生膜形成における機能解析とGRAMおよびPHドメインの生化学機能 GRAMならびにPHドメインがPI(4)Pに特異的に結合することを生化学的に証明した。さらにPI4キナーゼ遺伝子を3種類クローン化し、破壊株・変異株の取得に成功した。現在、これらの変異株やドメイン欠失変異株における新生膜合成を追跡することで、PI(4)PとAtg26の新生膜形成における生理機能を明らかにするための実験が進行中である。 III.植物病原菌の感染樹立過程におけるペキソファジーとシグナル経路 植物病原菌Colletotrichum lagenariumにおけるペルオキシソーム動態を解析した結果、胞子内で発達していたペルオキシソームは、侵入器官細胞において顕著に分解されていた。現在までにC1ATG26が本菌の植物感染に必要であることがわかり、ペルオキソーム分解の植物感染時における生理機能が示唆された。現在、ドメイン欠失株等を用いてさらなる検証を行っているところである。一方、分裂酵母において液胞膜ダイナミクスへの関与が示されているStyl MAPキナーゼ相同遺伝子の解析を行った結果、本MAPキナーゼ経路が、殺菌剤であるフルジオキソニルに対する感受機構に関与していることを示した(Mol.Microbiol., 2004)。
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