研究概要 |
I.リン脂質結合ドメインの生理生化学機能 Atg26 GRAMドメインにはPI(4)Pが特異的に結合した。3種のPI(4)K遺伝子をP.pastorisよりクローン化し検討したところ、主にPik1が新生膜構造体の形成に関与しPI(4)Pシグナルの関与することを初めて見いだした。Atg26ドメイン欠失株を用いた解析により、GRAMドメインは、オートファゴソーム前駆体へのリクルートメントに必要であり、ステロールグルコシドの生成は膜構造体の伸長反応に必要なことがわかった。(J.Cell Biol., under minor revision)。 II.新生膜形成の制御機構 新生する膜構造の全く異なる2つのペキソファジー経路、ミクロペキソファジーとマクロペキソファジーについて、そのスイッチングに関する制御機構について解析したところ、細胞内ATPレベルと深い関連を示すことを明らかにした(Biosci.Biochem.Biotechnol. 2005) III.植物病原菌感染時におけるペキソファジーの解析および脂肪顆粒の動態について ウリ類炭疽病菌ATG26破壊株は、植物体への侵入段階に欠損を有していることを明らかにした。ペルオキソーム動態を調査したところ、ウリ類炭疽病菌の感染過程においては、ペルオキソーム分解が顕著に進行しており、ATG26破壊株においてはこの分解の遅延が見出され、本遺伝子が感染器官内でのペルオキソーム分解に関与していることが示唆された。また感染過程においては、急激な脂肪顆粒の分解が観察されるが、PEX6破壊株においては、その分解が抑制されており、感染樹立過程における脂質代謝系とペルオキシソームの密接な関係が示唆された。
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