研究課題
本研究により以下のことを明らかにした。1.これまで神経細胞に特異的に発現していると考えられていたCdk5活性化因子p35が膵臓β細胞に強く発現し、単離したβ細胞内のCdk5の活性は、脳と同レベルであった。2.Cdk5の活性阻害剤は、低グルコース時のβ細胞、膵ラ氏島からのインスリン分泌に影響を及ぼさないが、高グルコース時のインスリン分泌を有意に促進した。3.Cdk5活性阻害は、グルコース刺激によるLタイプ電位依存性Ca^<2+>チャネル(L-VDCC)からのCa^<2+>流入を促進した。そのメカニズムは、Cdk5が同チャネルのセリン783番をリン酸化し、Syntaxin等結合蛋白の同チャネルへの結合を阻害することであった。4.p35ノックアウトマウスから単離した膵ラ氏島からのインスリン分泌は、低グルコース時では野生型マウスのそれと同程度であるが、高グルコース時では野生型マウスと比較して有意に促進した。6.p35ノックアウトマウスに糖負荷試験を実施すると、野生型マウスと比較してインスリン分泌は促進し、血中グルコース濃度は有意に低かった。7.Cdk5の活性は、細胞内Ca^<2+>濃度により制御されており、細胞内Ca^<2+>が上昇するとp35のユビキチンープロテアソームによる分解が促進されることを明らかにした。8.以上のことより、Cdk5阻害剤が、低血糖を誘発しない全く新しいタイプの高血糖治療薬になる可能性が示唆された。
すべて 2005
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