研究課題/領域番号 |
16044241
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
柚崎 通介 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40365226)
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研究分担者 |
幸田 和久 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40334388)
松田 恵子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40383765)
松田 信爾 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60321816)
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キーワード | グルタミン酸受容体 / 軸索 / 樹状突起 / 輸送 / シナプス / 可塑性 |
研究概要 |
神経細胞は高度に発達した極性を持った細胞であり、軸索と樹状突起にはそれぞれ特異的な膜蛋白質が発現している。また、記憶・学習の基礎過程である長期抑圧現象(LTD)は、シナプス後膜に存在するグルタミン酸受容体の選択的エンドサイトーシスにより起きることが、近年明らかになった。このように神経細胞機能の理解には、膜蛋白質のトラフィック機構の解明が重要な鍵を握る。私たちは小脳プルキンエ細胞樹状突起に特異的に発現し、LTD発現と小脳での学習機能を制御するδ2型グルタミン酸受容体をモデルとして、トラフィック機構を解明することにより、神経細胞における高次機能の発現機構を明らかにすることを目的とした。 これまでに、δ2受容体の細胞内C末端部分に、小胞体からトランスゴルジ網に輸送させるA領域(Eur.J.Neurosci.,'04)、シナプス後膜からのエンドサイトーシスを妨げるE領域(投稿中)、樹状突起への極性輸送を制御するF領域がそれぞれ独立して存在することを明らかにした。一方、細胞外のN末端領域は、輸送には直接関係しないものの、安定多量体形成に必要であり、その障害によりδ2受容体の小胞体への貯留が起きることを見出した(J.Biol.Chem,'05)。さらに、F領域についてさらに解析を進め、この領域に結合することにより樹状突起への極性輸送を制御する蛋白質を同定した。この蛋白質のノックダウンにより、δ2受容体のみならずAMPA型グルタミン酸受容体の樹状突起への選択的輸送が障害されることから、この蛋白質は神経細胞における膜蛋白質の極性輸送を制御するマスター分子の一つであると考えられる(投稿準備中)。
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