研究課題/領域番号 |
16045201
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山縣 一夫 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (10361312)
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研究分担者 |
柳澤 純 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (50301114)
中西 友子 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助手 (10344863)
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キーワード | 受精 / 初期発生 / 精子 / プロテオミクス / エピジェネティクス / 哺乳動物 |
研究概要 |
われわれはいくつかの状況証拠をもとに、精子は受精後の胚発生に対して積極的な働きかけをしているのではないかという作業仮説を立て研究を行っている。そこで、受精の際精子から卵子へと持ち込まれるタンパク質(父性由来因子)に着目し、それらの同定と機能解析を行いたいと考えている。本年度はまず、卵子に持ち込まれる精子由来因子の受精後期における機能を解析するため、精子核抽出物やその残余物を卵子へマイクロインジェクションした。その結果、精子核抽出物中には少なくとも卵子の活性化や雄性前核の形成にかかわる因子が含まれていることが示唆された。そこで、精子核抽出物について2次元電気泳動法と質量分析法を組み合わせ、それら因子の網羅的同定を試みた。現在までに計43スポット、30種類のタンパク質を同定している。興味深いことに、その抽出物中にはヒストンや精巣特異的な転写因子といった従来知られている核タンパク質の他に、プロテアソームの各種サブユニットやシャペロンタンパク質、さまざまな酵素タンパク質などが含まれていた。また、精巣特異的なアクチンタンパク質やアクチン結合タンパク質(プロフィリン)といった細胞骨格系タンパク質も同定された。これらタンパク質のいくつかについてウエスタンブロット分析を行ったところ、それらは確実に精子の核画分に含まれていることから、受精の際卵子へと持ち込まれている可能性が高い。今後は遺伝子ノックアウトの系を用いてこれらタンパク質の受精後の機能解析をしていきたい。また、本研究では受精後における父性由来因子の挙動解析を行うことを目標の一つに掲げている。そこで、本年度は受精前後の卵子を生きたまま蛍光観察できる実験システムをソフト面、ハード面で構築した。今後は同定した父性由来因子を蛍光ラベルし、卵子内における局在性、動態変化を観察したいと考えている。
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