研究概要 |
マウスセントロメアヘテロクロマチン領域のエピジェネティックな制御:マウスセントロメアヘテロクロマチン領域において複製フォークの進行と複製タイミング、ヒストンのエピジェネティックな動態との相関関係について解析することを目的とし、DNAメチル化阻害時のヘテロクロマチン領域における修飾ヒストンのダイナミックな変換と複製タイミング、複製フォークの進行との相関性等を解析した。通常ユークロマチンに多く存在しているtriMeK4H3,diMeK4H3はDNAメチル化を阻害することで、セントロメア周辺ヘテロクロマチン領域に局在する一方、通常ヘテロクロマチン領域に多く存在しているtriMeK9H3はDNAのメチル化阻害によりこの領域では少し減少した。また、24時間の5azadC処理によって、セントロメア周辺ヘテロクロマチンにおける修飾ヒストンの変換が起きた核はS期初期では少なく、この領域が複製するS期中期以降の核で多く見られた。これらの結果から、5-azadC処理により、セントロメア周辺ヘテロクロマチン領域のDNAのメチル化が減少することで、複製タイミングが早くなり、さらに複製フォークの進行が促進されるに伴って、その後のクロマチンアッセンブリーの際、ヒストン修飾の構成に大きな変化が起こるとが示唆された。また、分子コーミング法による複製フォークの解析法を確立した。 DNA複製における核マトリックスの関与:複製タイミングがS期初期、中期、後期の特定のゲノム領域について解析した結果、それぞれの遺伝子領域に存在するMARはS期を通して核マトリックスに結合しているが、MAR以外のDNA配列は、それぞれの複製タイミングの時期にのみ核マトリックスと結合していることを明らかにした。また各種preRC複合体タンパク、複製ファクトリータンパクについても核マトリックスとの関係を明らかにし、これまでの成果とあわせて複製・転写ファクトリーが核マトリックス上で機能しているモデルを提示した。 これらの成果について論文作成中である。
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