研究概要 |
生殖細胞特異的G9a欠損マウスの樹立 生殖細胞特異的Cre発現マウスには、Tissue Non-Specific Alkaline Phosphataseの遺伝子座にCreをノックインしたマウス(TNAP-Creマウス)を用いた。このマウスは始原生殖細胞からCreの発現が見られ、以降の発生過程でも生殖細胞特異的な発現パターンを示す。G9aのコンディショナルノックアウトマウスと上記TNAP-Creマウスを2回交配することにより、TNAP-Cre+,G9adelta/floxマウスを得、最終的に生殖細胞特異的にG9aを欠損させるマウスが樹立できた。 生殖細胞特異的G9a欠損マウスの表現型解析 1)生殖細胞特異的G9a欠損マウス・雄 得られた生殖細胞特異的G9a欠損マウス(以下GGKOマウスと略す)雄を複数の野生型の雌と自然交配させた。8匹すべてにおいて不妊がみとめられた。以上のことは雄の生殖細胞の発生にG9aが必須であることを示した。さらに3ヶ月令マウスの精巣切片では、成熟した精子が全く検出できなかった。特に減数分裂以降の細胞が全く認められないことから、減数分裂による半数体化のプロセスにG9aが関わっていることが示唆された。 2)生殖細胞特異的Gga欠損マウス・雌 得られたGGKOマウス雌を複数の野生型の雄と交配した。その結果、不妊のマウスと子供を作れるマウスの2種が存在することが分かり、その比率はおよそ2:1であった。妊娠可能なマウスにおいて、生まれてくる子殿の数は1回の平均でおよそ3匹程度と少なかったことから、雌の生殖細胞の分化にG9aは必須ではないものの、やはり重要な機能を有することが推察された。
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