研究課題/領域番号 |
16045211
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
国枝 哲夫 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80178011)
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研究分担者 |
辻 岳人 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (90314682)
野口 純子 (独)農業生物資源研究所, 遺伝資源研究グループ, 主任研究官 (80189381)
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キーワード | 減数分裂 / 組み換え率 / 精子形成 / 卵形成 / FKBP6 / シナプトネマ複合体 / モデル動物 |
研究概要 |
精子形成不全を呈するas/asラットでは、雌では卵形成は正常に進行し生殖可能であるが、雄では減数分裂に異常を呈し、精子形成は減数分裂のパキテン期で停止する。これまでに研究によりFkbp6遺伝子にas/asラットに特異的な突然変異を同定し、本遺伝子の機能の欠損が精子形成不全の原因であることを明らかにしている。さらにFKBP6は相同染色体の対合装置であるシナプトネマ構造を構成するととともに、性染色体の対合にも深く関与することが明らかとなっている。以上のことから、FKBP6は減数分裂時の相同染色体の対合、特にほ乳類の雄に特異的なXおよびY染色体の正常な対合と分離に重要な役割を果たしていると考えられ、FKBP6の減数分裂における機能を解析することで、減数分裂の進行に必須である染色体の対合と分離の分子機構が解明されることが期待される。 本研究では、FKBP6欠損動物における減数分裂の異常の発生機構を明らかにすることを目的として、まず、Fkbp6^<-/+>ヘテロ欠損個体の精子形成の過程で相同染色体の交叉と組換えに異常が生じている否かについて検討した。すなわち、FKBP6欠損による減数分裂時の相同染色体の対合の異常は、相同染色体間における交叉とその結果としての組み換えにおける異常を引き起こすことが予想される。そこでFkbp6^<-/+>ヘテロ個体と正常個体との間の交配により得られた戻し交配個体について、特定の染色体上のマイクロサテライトマーカーを用いて各遺伝子座間の組み換え率を求めたところ、交叉の干渉により正常個体では認められない、近接した領域における二重交叉がFkbp6^<-/+>ヘテロ個体では複数認められた。これらの結果は、FKBP6の機能低下により、相同染色体の交叉と組み換えに異常を生じていることを示唆するものであり、FKBP6の減数分裂における機能を解明する上で重要な知見と考えられる。
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