研究課題/領域番号 |
16045212
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
有馬 隆博 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (80253532)
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研究分担者 |
加藤 聖子 九州大学, 生体防御医学研究所, 講師 (10253527)
和氣 徳夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50158606)
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キーワード | ゲノムインプリント / ヒト胎盤幹細胞 / Dnmt3L |
研究概要 |
本研究では、栄養膜細胞における分化制御機構とゲノムインプリントの胎盤形成での役割を解明することを目的に1)ヒトトロホブラスト幹細胞(TS細胞)の樹立2)Dnmt3L mat-/+のTS細胞の分化機構について解析した。 1)ヒトトロホブラスト幹細胞(TS細胞)の樹立;ヒト栄養膜幹細胞(TS細胞)は未だ樹立されていない。我々は、患者の同意を得て採取した妊娠初期胎盤絨毛組織を酵素処理および濃度勾配法を用いて栄養膜細胞を分離した後、Hoechst染色しFACSでside population(SP)細胞(0.01-0.3%)を分離。さらにCytotrophoblast(CT)および合胞体栄養細胞特異的抗体を用いて細胞免疫染色を行い、SP細胞がCTに存在することを確認した。SPは非SP細胞のRNAと比較し、未分化マーカーの発現亢進と分化マーカーの著しく発現低下を認めたため。幹細胞的性格を有することが示唆された。また、ヒトとマウスのTS細胞における発現パターンは異なることも証明した。 2)ゲノムインプリントの胎盤形成に関わる役割;ゲノムインプリントの部分的獲得障害(maternal methylationの消失)をもたらすDnmt3L^<mat-/+>の胎盤は低形成を示し、胎生9.5日に致死となる。Dnm3L^<mat-/+>マウスの胎盤はアポトーシスを起こすのではなく、細胞分裂の停止により、胎盤の低形成をもたらすことを示した。またこのDnmt3L^<mat-/+> TS細胞(幹細胞)を用い胎盤形成不全の原因解明を行った。胎盤分化に関与するmash2,Gcm1の発現の低下が見られ、インプリント異常が胎盤の分化に影響を及ぼし、胎盤低形成を示すことが確認された。このmutantマウスの解析からインプリント機構が胎盤形成に基づく胎児形成に必須のものであることが実証された。
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