1.ヒト・トロホブラスト幹細胞(TS細胞)の樹立と未分化維持機構の解明;マウストロホブラスト幹細胞(TS細胞)は未分化維持に胎児側因子であるNodalやFGF4のシグナルが必須である。ヒトTS細胞の樹立は未だ報告はない。ヒト初期胎盤絨毛よりcytotrophoblastを分離。FACSを用い未分化幹細胞を単離。幹細胞特異的な表面抗原としてCD49を用い、高純度な幹細胞を分離した。この細胞群の特性を解析した。未分化幹細胞維持に必須なBmiIをレンチウイルスベクターを用い、遺伝子導入し継代。FGF4及びヘパリンを除いた培養系で、細胞培養の変化、巨細胞の出現の有無を確認した。分化、未分化TS細胞株で、マイクロアレイ法による大容量遺伝子発現解析システムを応用し、分化に伴い顕著な発現変化を示す遺伝子群を同定中である。マウスTS細胞でも同様の検討を行い共通点、相違点を明確にする。 2.胎盤形成とゲノムインプリント(GI)の分子機構;改変単為発生(PG)胚の胎盤について解析している。GIを受ける前の卵子:非成長期卵母細胞核(ng)とGIを獲得した後の卵子:完全に成長した卵母細胞核(fg)よりなる単為発生胚(ng/fgPG)を作製した。fg/fgPG胚では胎盤はほとんど形成されないのに対し、ng/fgPG胚の胎盤は正常に発育した。ng/fgPG胚のGIの部分的改善したPG胚つまりGI遺伝子H19の欠損マウス由来のng卵を使用した改変PG胚(H19Δ13ng/fgPG)では胎盤組織構築は完成し、妊孕性を有する。fg/fgPG胚、ng/fgPG胚、H19Δ13ng/fgPG胚の順に、GIは改善され、同時に胎盤組織も構築される。これらマウスの胎盤機能について(in vitro in vivo)解析している。集合キメラを作成し、胎盤機能の改善をするか検討している。
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