研究概要 |
ES細胞を用いた遺伝子トラップを行う過程で得られた3つのトラップクローン、Ayu17-125,Ayu17-131,Ayu17-735は、それらのクローンから作製されたキメラマウスの子の毛色はES由来であるにもかかわらず、トラップベクターは全く検出されないという現象を示す。なぜトラップベクターが伝わらないのか解析するため、まず、キメラマウスの精子にトラップベクターが存在するか調べたところ、ベクターは検出され、次に、この精子を用いて体外授精を行い、受精卵を胚盤胞まで培養、個々の胚盤胞でのトラップベクターの有無を調べたところ、ベクターを持つ胚が存在した。つまり、トラップベクターが伝わらないキメラマウスの精子にもベクターは存在し、この精子と受精した卵は胚盤胞まで発生することがわかった。しかし、体外受精させた胚を仮親に移植して仔を産ませても、ベクターを持つ仔は産まれなかった。そこで、次に、致死となる時期を調べるため、発生途中の胚でトラップベクターの有無を調べたところ、クローンやキメラマウスによって致死になる時期は異なるようであるが、遅くとも10.5日胚までに致死になっていることがわかった。また、Ayu17-125ラインでは、通常通りベクターが伝わるキメラも同時に得られ、'トラップされた遺伝子が直接の原因ではないことが示唆された。この現象の原因として、挿入したトラップベクターが周辺のゲノムに何らかのエピジェネティックな変化を起こしているのではないかという仮説を立て、これらの3クローンにおけるトラップペクターの挿入部位を5,RACE法およびプラスミドレスキュー法で解析した。その結果、Ayu17-125は、hyd遺伝子の第1イントロン、Ayu17-131は、Vcp遺伝子のプロモーター領域、Ayu17-735は、elov16遺伝子の第1イントロンに挿入されていることがわかった。
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