・海馬神経回路の一部にグルタミン酸トランスポーター阻害剤やATPリセプターアンタゴニストをマイクロインジェクションにより局所投与すると、回路全体の神経伝達能は大きく低下した。例えばCA1領域の一部のごくわずかな領域に阻害剤を投与するだけでマクロ回路の情報伝達は著しく低下し、短期記憶の中枢たる海馬から長期記憶の座と考えられる連合野への情報伝達が損なわれてしまうことなどが明らかになった。 ・アストロサイトのグルタミン酸トランスポーターの起電性を用いて、光学的計測によりアストロサイト活動動態の空間的・時間的変動を可視化することに成功した。 ・海馬のtrisynaptic circuitの各シナプスにおけるGlt-1 transporter阻害剤DHKの影響を調べると、苔状繊維→CA3シナプスではシナプス伝達が100%阻害なのに対してシャーファー側枝→CA1シナプスでは約65%の阻害である、などの部位差が認められた。 ・阻害剤投与初期にはむしろ神経伝達の一過性増大がみられ、その後、大きな神経伝達阻害へと移行した。
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