研究課題/領域番号 |
16047202
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
野村 真 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10323007)
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研究分担者 |
大隅 典子 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00220343)
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キーワード | 神経新生 / 神経幹細胞 / 歯状回 / Pax6 / 前駆細胞 / アストロサイト / 細胞増殖 / 突起伸展 |
研究概要 |
神経新生(神経細胞とグリア細胞の産生)という現象は主に神経幹細胞が多く存在する胎児期の脳神経系で盛んに起こる現象であるが、近年成体脳の局所的な領域(海馬歯状回及び側脳室の脳室下帯)においても神経幹細胞が存在し、神経新生が起こっていることが広く知られている。我々はこれまでに、転写因子であるPax6遺伝子が海馬歯状回で発現していること、またPax6遺伝子に変異を持つ成体ラットでは歯状回の神経新生が減少していることを見いだしてきた。そこで今回は、歯状回でPax6を発現している細胞の特性と、Pax6変異ラット歯状回の組織構築を免疫電顕法及びBrdU標識法により詳細に解析した。歯状回で増殖している細胞はその特性から幾つかのタイプに分類されるが、NestinやMusashiといったマーカーの発現、また電顕による形態学的解析により、Pax6はタイプIと呼ばれる早期前駆細胞で主に発現していること、PSA-NCAMを発現するタイプIIではほとんどその発現が見られないことが明らかとなった。また海馬歯状回におけるPax6遺伝子の機能を解析する目的で、Pax6変異ヘテロラットの海馬を調べた。その結果、Pax6変異ラットではタイプI細胞の増殖率が非常に低下していることが明らかになった。またPax6変異ラット歯状回ではアストロサイトの突起伸展が異常であることも見いだした。これらの結果より、Pax6は成体海馬歯状回において、タイプI細胞の増殖もしくは維持、またアストロサイトの正常な分化に必要であることが予測された。
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