研究課題/領域番号 |
16047203
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
橋本 謙二 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (10189483)
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研究分担者 |
清水 栄司 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (00292699)
幡野 雅彦 千葉大学, バイオメディカル研究センター, 助教授 (20208523)
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キーワード | グリア / D型セリン / 統合失調症 / グルタミン酸 / グルタミン / セリンラセマーゼ |
研究概要 |
D型セリンは脳内のグリア細胞に存在する酵素セリンラセマーゼ(SRR)によってL型セリンより合成されることが知られている。今回、ヒトSRR遺伝子について、統合失調症との関連研究を行なった。本研究は、各施設における倫理委員会の承認を得て実施され、対象者には研究目的・内容を説明した上で書面による同意を得た。5'-RACE解析により、SRRには4種類の5'非翻訳エクソン(Exon 1a-1d)が存在することが明らかとなり、それらエクソンの選択的使用によって4種類のmRNA (Isoforms a-d)が生成されることを見いだした。これらゲノム情報に基づきSRR遺伝子の変異・多型検索を実施した結果、exon 1b近傍に2個のSNPとintron 5および3'非翻訳部位に1個ずつ頻度の低いSNPを見つけた。本研究では頻度の高い2個のSNP (exon 1b近傍の2個のSNP)について解析を行なった。サンプルIを用いた患者・対照研究では、2個のSNPについて有意な差が認められた。この結果を確認するために、サンプルIIを用いて上記の2個のSNPについて調べたところ、両群で差はなかった。さらに124家族のサンプルでも、統合失調症との関連は無かった。血清全セリン中のD型セリンの割合(%)は、健常者群において1個のSNPとの間に有意な差が認められたが、患者群ではみられなかった。 さらに、初発で未治療の統合失調症患者と健常者の脳脊髄液中のD型セリン濃度の測定を行なった結果、全セリン濃度に対するD型セリン濃度の割合が、患者群で有意に減少していることが見出した。また同じ患者群でグルタミン酸(Glu)濃度およびグルタミン(Gln)濃度を測定したところ、患者群でGln/Gluの比が有意に増加していることが判明し、Gln-Gluサイクルが患者群で異常になっている可能性を見出した。
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