研究課題
我々は、これまでに、代謝型グルタミン酸受容体mGluR1がグルタミン酸のみならず、Gd^<3+>によっても活性化されること、E238Q点変異によりmGluR1のGd^<3+>に対する感受性が完全に失われることを明らかにした。しかし、脳脊髄液中にはGd^<3+>が存在しないので、mGluR1の持つGd^<3+>感受性の生理的意義は不明である。その意義を明らかにするために、饗場研究室と共同でE238Q変異を持つノックインマウスの作成を進めてきた。昨年度樹立した相同組み換え陽性のES細胞株を用い、今年度、まずキメラマウスを作成し、ここからE238Q変異ヘテロのマウスを得ることに成功した。さらに、creマウスとの交配によりneo遺伝子を脱落させた後に、最終的にE238Q変異ホモのマウスを得た。E238Q変異ホモのマウスは、体の大きさ、運動量等に関して際だった異常は示さなかった。今後、行動生理および電気生理の解析を進めていく。一方、我々は、mGluR1の、リガンドの多様性、活性化構造の多様性、出力の多様性に関しても研究を進め、mGluR1を発現させたCHO細胞において、グルタミン酸刺激がGq, Gs両系を活性化するのに対し、Gd^<3+>刺激は、Gq系を選択的に活性化するという知見を得た。これは、mGluR1がシンプルなオン-オフスイッチではなく、複数のパスの切り換え調節器として機能しているという新しい概念を提唱するものである。
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