研究課題/領域番号 |
16047216
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
南 雅文 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (20243040)
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研究分担者 |
中川 貴之 京都大学, 薬学研究科, 助手 (30303845)
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キーワード | サイトカイン / ケモカイン / アストロサイト / MAPキナーゼ / ATP / グルタミン酸トランスポーター / 神経細胞傷害 |
研究概要 |
大脳皮質-線条体培養切片において、ATPγS処置によるMCP-1産生・遊離亢進に対する各種MAPキナーゼ阻害薬の効果について検討したところ、ERKのリン酸化酵素であるMEKの選択的阻害薬PD98059およびJNK阻害薬SP600125では、MCP-1産生・遊離が抑制され、p38 MAPキナーゼ阻害薬SB203580ではMCP-1産生・遊離を濃度依存的に増強した。次に、MAPキナーゼ阻害薬によるMCP-1産生・遊離の抑制および増強作用のメカニズムを明らかにするために、ATPγSによるMCP-1 mRNA発現誘導に対する各MAPキナーゼ阻害薬の効果をノザンブロット法により検討したところ、3時間のATPγS処置により誘導されるMCP-1 mRNA発現は、PD98059によって有意に抑制された。また、SP600125に関しても有意ではないものの、抑制傾向が認められた。一方、SB203580はMCP-1 mRNA発現誘導に影響を与えなかった。SB203580によるMCP-1産生・遊離増強作用のメカニズムを明らかにするため、ATPγS処置によるMCP-1 mRNA発現およびタンパク産生に対するSB203580の効果をノザンブロット法および免疫組織化学法により経時的に検討した。その結果、ATPγS処置によるMCP-1のmRNA発現およびタンパク産生が、SB203580存在下ではより長く持続することが明らかとなった。 アデノウイルスをベクターとして用いることにより、神経-グリア共培養系中のアストロサイトにEGFPを発現させ、その形態を経時的に観察することが可能な実験系の構築に成功した。グルタミン酸処置により神経-グリア共培養系中の神経細胞が死滅するとともに、アストロサイトの形態が大きく変化し、特に突起数が著しく減少することが示された。本実験系は、グリア細胞活性化機構の解析に有用であると考えられる。
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