研究課題/領域番号 |
16047216
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
南 雅文 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (20243040)
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研究分担者 |
中川 貴之 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (30303845)
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キーワード | サイトカイン / ケモカイン / アストロサイト / MAPキナーゼ / ATP / グルタミン酸トランスポーター / 神経細胞傷害 |
研究概要 |
前年度の研究において、大脳皮質-線条体培養切片において、ATPγS処置によるアストロサイトでのMCP-1産生・遊離亢進に対する各種MAPキナーゼ阻害薬の効果について検討したところ、ATPγSによるMCP-1産生・遊離亢進には、MEK/ERKカスケードの活性化が重要な働きをしていることが明らかとなった。さらに、NMDAによる神経細胞傷害により惹起されるアストロサイトでのMCP-1産生・遊離亢進についても各種MAPキナーゼ阻害薬を用いた同様の検討により、、MEK/ERKカスケード活性化が重要であることが示された。 そこで、NMDAによる神経細胞傷害時のMEK/ERKカスケード活性化をERKリン酸化亢進を指標として検討したところ、NMDA処置30分以内の早い時間帯では神経細胞において、1時間以後の遅い時間帯ではアストロサイトにおいてERKリン酸化の亢進が観察された。NMDA処置終了後3時間の時点でのMEK阻害薬の添加によってもMCP-1産生・遊離亢進が抑制されたことから、アストロサイトでのMEK/ERKカスケード活性化が重要であることが示唆された。 前年度に構築した、神経-グリア共培養系中のアストロサイトにEGFPを発現させることによりアストロサイト形態を経時的に観察することが可能な実験系を用いて、NMDA処置による神経細胞傷害時のアストロサイト形態変化におけるMEK/ERKカスケード活性化の役割を、MCP-1産生・遊離亢進における役割と平行して解析した。MEK阻害薬は、本培養系においてもMCP-1産生・遊離亢進を抑制したが、アストロサイト形態変化に対する有意な効果は認められなかったことから、神経細胞傷害時のアストロサイト形態変化にはMEK/ERKカスケード以外の細胞内情報伝達系が関与していることが示唆された。
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