計画研究5年度目にあたり、当初に総括班会議を開催し統合的脳研究の推進と研究交流計画を策定した。「統合脳」領域全体の方向性とそれを実現する組織および具体策を再検討した。研究者育成・支援委員会では、統合的・学際的観点から脳研究者を育成するための方策も再検討し、研究者育成支援活動を実施した。支援班は、まず脳活動計測新技術ユーザー検討会において、世界における脳研究手法の動向を検討し、新技術の可能性と必要性を討議した。研究リソース委員会の議を経て研究リソース提案12件を推進した。対外委員会においては、研究成果の一般公開・広報および社会との接点形成の方策を検討し、一般参加者を対象とする講演会を企画・実施した。他方、地域巡回シンポジウムを京都にて開催した。 5領域全体の行事として、夏のワークショップ及びサテライトシンポジウムを開催した。統合的脳研究推進の趣旨に基づいた招待講演及び領域研究者による研究発表及びポスター発表を行い、研究交流の場を設定した。冬には研究成果発表を目的とした一般公開シンポジウムを開催し、分子脳科学、脳の神経回路、脳のシステム、脳の病態及び統合的脳研究の研究成果を発表した。 43件の公募研究を統括し、研究班会議を開催して研究内容の検討を行い、研究推進を図った。また計画研究については、(1)大脳視覚野の臨界期のメカニズム解明のための分子生物学的・神経回路機能学的統合的研究で成果を得、また(2)細胞生理学的研究と分子生物学的研究の統合による大脳の運動制御系の可塑性の解明ならびに上丘の神経回路と機能の連関、さらに、(3)神経回路解析とシステム的脳機能解析による大脳皮質一基底核連関の解明についても研究成果を得た。他方、(4)行動の時間制御に関与する大脳の高次機能研究について、生理学、神経心理学及び計算論の観点から統合的に研究を進め、研究成果が得られた。特に行動の概念形成について顕著な成果を得た。
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