研究課題/領域番号 |
16072206
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山下 晃一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40175659)
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研究分担者 |
浅井 美博 産業技術総合研究所, 計算科学研究部門, グループ長(研究職) (20192461)
中村 恒夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30345095)
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キーワード | 光誘起表面超高速過程 / 量子ダイナミクス / 表面吸着分子 / 分子コンダクタンス / 非平衡グリーン関数法 / 分子エレクトロニクス / 密度汎関数法 / 光誘起脱離反応確率 |
研究概要 |
光誘起表面超高速過程の量子ダイナミクス:金属および半導体表面で光励起された電子の吸着分子への電子移動は非局所的状態から吸着分子への局在化過程であるため、量子力学的開放系を取り扱わなければならない。そこで本研究では密度汎関数法(DFT)を基礎とした時間非依存の非平衡グリーン関数法(NEGF)による電子移動と反応確率のフォトンエネルギー依存性を第一原理的に求めることを目的とした。NEGF法から、"小なり"グリーン関数は、コーン・シャムハミルトニアンから得られる遅延、先進グリーン関数と、基盤表面との相互作用、散乱領域における電子相関、非断熱相互作用を含む"小なり"自己エネルギーで与えられる。(1)金属については一電子近似が良い近似である、(2)金属部分の光応答によるキャリア生成とトンネル過程は分離できると仮定し、光脱離の反応確率を定式化した。具体的にAg(110)表面からの酸素分子の光誘起脱離過程について応用し、反応確率がフォトンに依存性するという実験結果を再現することに成功した。 表面超速過としての護子のコンダクタンス:分子エレクトロニクスに関連して、分子コンダクタンスの実験的、理論的研究が盛んに行われている。本研究では単一有機分子が半無限系の電極にはさまれた系のコンダクタンスについてグリーン関数法に基づいた計算手法の開発を行った。まず電極による自己エネルギーを摂動と考え、摂動論により一次のエネルギー補正を含む近似的グリーン関数を導出した。この近似グルーン関数の導入により、分子コンダクタンスの本質的特徴、すなわち、もし単一有機分子の分子軌道間のエネルギー差が大きな場合、電子は単一の分子軌道を通過すること、またその分子軌道の軌道エネルギーは半無限系の電極の影響でシフトし、虚部を持つこと、を示すことができた。
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