研究課題
特定領域研究
新規な赤外顕微分光法を開発に成功した。これは、従来振動緩和の研究手段として用いられていた過渡蛍光検出赤外分光法をレーザー顕微鏡に応用したものである。第1の赤外レーザー光によって特定の振動に赤外励起した分子のみを第2の可視レーザー光により選択的に電子励起することで生じるS1からの蛍光(過渡蛍光)を検出する。この時、過渡蛍光は赤外光と可視光の重なり部分でのみ発生する。赤外光および可視光はそれぞれの波長に依存する回折限界以下に集光できないが、重なり部分の過渡蛍光発生領域は原理上、可視光の回折限界まで収縮可能である。即ち、赤外の振動情報を可視光の回折限界に依存する空間分解能で取り出す赤外超解像顕微分光が実現可能である。ローダミン6G溶液を用いて赤外超解像顕微分光の原理検証実験を行い、溶液において赤外の回折限界を遥かに凌駕した赤外超解像の観測に成功した。さらに、赤外超解像顕微鏡法が微小試料や細胞に適用可能かどうかも検証した。まず、微小試料として蛍光ビーズを取り上げ赤外超解像法を適用した結果、明瞭な過渡蛍光の観測に成功した。過渡蛍光像から空間分解能を見積もったところ、1-colorの蛍光像と赤外超解像がほぼ同じ空間分解能(6.8μm)で観測されていることが分かった。これは、赤外超解像の空間分解能が可視光で決まり、赤外の影響はほとんどないことを意味している。また、実験時における赤外の回折限界(16.6μm)で蛍光強度をシミュレーションした結果より、実測値は遙かに高分解能である。即ち、赤外の回折限界を突破した赤外超解像である。さらに、時間分解測定、波長依存測定、赤外波長の長波長化といった赤外超解像顕微鏡法の性能評価を行うと共に、この手法をシロイヌナズナの根毛細胞に適用し、細胞への応用の有効性も実証することに成功した。
すべて 2008 2007 2006 2005 2004
すべて 雑誌論文 (23件) (うち査読あり 12件) 学会発表 (34件) 図書 (1件)
Funct. & Materials 28
ページ: 22-26
Opt. Electroopt. Eng. Contact 45
ページ: 19-23
Nano Biophotonics, (Elsevier) 3
ページ: 2357-2359
Chem. Phys. Lett. 420
ページ: 410-415
Rev. Sci. Instrum. 77
ページ: 063112-1-8
Angew. Chem. In. Ed. 44
ページ: 6149-6151
Appl. Spectrosc. 59
ページ: 868-872
Rev. Sci. instrum. 76
ページ: 073701
J. Electron Spectrosc. 142
ページ: 215-221
未来材料 5
ページ: 8-15
化学 60
ページ: 34-38
分光研究 54
ページ: 163-169
Expected Materials for the Future 5
Chemistry 60
J. Spectroscopic. Soc. of Japan 54
Chem. Phys. Lett. 396
ページ: 298-302
J. Chem. Phys. 120
ページ: 3215-3220
J. Phys. Chem. A 108
ページ: 4420-4427
Rev. Sci. Instrum. 75
ページ: 5131-5135
Opt. Eng. 43
ページ: 1136-1143