1)高分子場における反応の不均一性と発したナノメータ域の弾性ひずみの計測: バルク状高分子における化学反応は、ほとんどの場合、セグメントの自由体積などにより不均一的に進行する。その結果、局所ひずみが形成される。これらの反応誘起ひずみの形成と緩和過程を測定するためMach-Zehnder干渉計を組み立てて、in situ測定を行った。 2)反応の不均一性を利用したミクロン域の傾斜周期構造を有する高分子材料の設計: 物質中の光強度は透過する距離の指数関数に従うことと、混合系の過冷却度が架橋密度に依存することを利用して、強い光強度で相分離を誘発することによって高分子の様々な階層構造を成形させることができた。 3)架橋反応の不均一性を利用した共連続階層構造を有する高分子の設計 相溶する高分子混合物を光照射して相分離を引き起こすと核生成・成長が起こり、片方の成分高分子のドロップレットが生成される。ある程度反応が進行すると架橋によってドロップレットの成長が停止され、六方細密充填が起こり、hexagonal phaseが形成された。途中で、光照射を一時的に中断してから照射を再開するとhexagonal packingが乱れ、共連続構造がランダムになり、非常にブロードな力学のtanδのピークが得られた。 4)コンピュータ支援光照射(CAI)法の開発と高分子凝集構造の時空間制御 任意の特性長あるいは任意の特性時間を有する光パターンで高分子混合系の相分離を誘起し、相分離の時空間制御するために、コンピュータ上で作成した様々な光パターンをディジタルプロジェクター経由で感光性高分子混合系に入射して相分離を引き起こした。ストライプ状の明暗パターンの照射で相分離を引き起こした場合、明暗の境界近傍に異方性の相分離構造が観測され、その等方性・異方性転移は架橋重合反応の自己触媒挙動と密接に関連することがわかった。
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