研究課題/領域番号 |
16072214
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
入江 正浩 九州大学, 大学院工学研究院, 教授 (30001986)
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研究分担者 |
松田 建児 九州大学, 大学院工学研究院, 助教授 (80262145)
深港 豪 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (80380583)
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キーワード | 分子結晶 / フォトクロミズム / X線構造解析 / 結晶構造 / 結晶形態変化 |
研究概要 |
安定に光可逆フォトクロミック反応するジアリールエテン単結晶の極微構造を制御し、光反応性を規制する励起エネルギー移動の有無を明らかにすること、また、分子構造変化と結晶形態変化との相関を解明することを目的として研究をすすめた。異なった3色に発色するジアリールエテンを任意の割合で含む単結晶を作製し、そのフォトクロミック反応系における励起エネルギー移動の寄与の見積もり、さらには、原子間力顕微鏡により、分子レベルでの形態変化の直接観測を行った。 3色に発色する3種のジアリールエテン(ビスチオフェン誘導体、ビスチアゾール誘導体およびビスオキサゾール誘導体)をほぼ同程度含む単結晶を作製し、照射光の波長を制御することにより、その単結晶を、黄色、赤色、青色に光発色させることに成功した。この結果は、単結晶内において効率の良い励起エネルギー移動が起きていないことを示唆している。すなわち、もし効率の良いエネルギー移動が起きていれば、最もエネルギーレベルの低い成分に励起エネルギーが集中して、その成分のみが発色するはずであるからである。ビス(2,4-ジメチルー3-チエニル)ペルフルオロシクロペンテン結晶についても、結晶内励起エネルギー移動のフォトクロミック反応への寄与を検討した。 ジアリールエテン単結晶表面のモルフォロジーが、紫外光と可視光の交互照射により可逆に変化することの機構を明らかにする目的で、分子レベルでの形態変化を原子間力顕微鏡により追跡した。その結果、単結晶表面に存在するメチル基を直接観測することに成功し、そのメチル基が光反応により動くことを確かめた。このことにより、確かに、分子レベルでの光誘起構造変化が結晶形態変化を誘起していることが確認された。
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