研究課題/領域番号 |
16073203
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
袖岡 幹子 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (60192142)
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研究分担者 |
平井 剛 独立行政法人理化学研究所, 研究員 (50359551)
濱島 義隆 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (40333900)
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キーワード | プロテインキナーゼ / プロテインホスファターゼ / 阻害剤 / フルオロホスホン酸 / RK-682 / 細胞死 |
研究概要 |
本研究は、細胞の増殖や死の情報伝達にかかわるタンパク質に直接結合し、その機能を特異的に制御する低分子化合物の創製と、それを用いた情報伝達機構の解明を目的としている。 本年度は、細胞増殖シグナル伝達の鍵酵素であるプロテインキナーゼC(PKC)の活性化剤について研究を行い、イソベンゾフラノン化合物が優れたPKC活性化剤となりうることを見出した(Bioorg.Med.Chem.Lett.に発表)。ホルボールエステルに匹敵する強い結合能を示す誘導体の開発にも成功し、本化合物が細胞レベルでも優れたPKC活性化能をしめすことを確認した。また、構造修飾により、逆にアンタゴニスト活性を示す誘導体の創製にも成功した。 我々がチロシンホスファターゼ阻害剤の開発研究の出発点として位置づけてきたRK-682が、ヘパラナーゼに対する阻害活性と細胞の浸潤阻害を示すことが見出された。そこで構造展開を行った結果、RK-682-O-benzyl誘導体が、VHRなどのホスファターゼに対する阻害を全く示さず、非常に強力な癌細胞の浸潤阻害を示すことがわかった。本成果はMol.Cancer Ther.に発表した。 T細胞の活性化の鍵酵素であるPP2Bの阻害剤に関しては、本年度、カンタリジン誘導体のより効率のよい合成法を確立した。これにより、さまざまな置換基を有する誘導体を光学活性体として合成することができるようになった。 また、全く別の構造をもつホスファターゼの阻害剤候補として、フルオロホスホン酸を設計し、その効率の良い触媒的不斉合成法を開発にも成功した(Tetrahedron.Lett.に発表)。 さらに、当研究室で開発した細胞死抑制剤のさらなる構造展開を行い、より強力で、毒性も低い誘導体の開発に成功した。本化合物は、ネクローシスに選択的なユニークな性質をもつ。
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