研究課題/領域番号 |
16073203
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
袖岡 幹子 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (60192142)
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研究分担者 |
平井 剛 独立行政法人理化学研究所, 研究員 (50359551)
濱島 義隆 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (40333900)
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キーワード | 細胞死 / インドリルマレイミイド / ネクローシス / プロテインキナーゼ / プロテインホスファターゼ / フッ素化 / バイオイソスター |
研究概要 |
本研究は、細胞の増殖や死の情報伝達にかかわるタンパク質に直接結合し、その機能を特異的に制御する低分子化合物の創製と、それを用いた情報伝達機構の解明を目的としている。 1)これまでに細胞増殖シグナル伝達の鍵酵素であるプロテインキナーゼC(PKC)のC1ドメインリガンドとしてイソベンゾフラノン(IB)誘導体を開発している。本年度は、更なる誘導体合成を行ない、リガンドのPKCαへの結合能と活性化能を評価した。その結果、IB誘導体の置換基をかえると、2つのC1ドメインへの結合選択性が変化することがわかった。 2)T細胞の活性化の鍵酵素であるPP2Bの阻害剤に関しては、一置換カンタリジン誘導体の構造活性相関研究を行い、光学活性体間で活性に顕著な差があることが分かった(Bioorg.Med.Chem.に発表)。また、カンタリジン誘導体の簡便合成法を確立し、様々な誘導体合成を可能にした。 3)我々は、細胞死抑制剤の開発研究も行っている。アポトーシスに関する研究が盛んに行なわれている一方で、ネクローシスを選択的に阻害するバイオプローブはネクローシスの作用機序解明の鍵であると認識されているにも係わらず報告例が少ない。我々は過酸化水素によって誘導されるネクローシスを選択的に阻害する化合物としてインドリルマレイミド(IM)誘導体を開発した。更に、水溶性や安定性にすぐれた誘導体を開発することにも成功した。(Bioorg.Med.Chem.Lett.に発表)。 4)バイオイソスターとして用いられるフッ素の効率の良い不斉導入法を開発し、新規阻害剤の設計と合成に応用した。(Tetrahedron.Lett.およびJ.Am.Chem.Soc.に発表)。
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