研究概要 |
1.大島新曽根産海綿Pseudoceratina purpurea由来の変異株酵母に対する生育阻害物質同海綿の抽出物を、液液分配、逆相カラムクロマトグラフィーおよび逆相液体クロマトグラフィーに付して、pseudoceratin AおよびBと命名した活性物質を単離した。これらの化合物は互いにジアステレオ異性体の関係にある、臭素を4つ含む化合物であった。NMRデータの解析から5つの部分構造を明らかにし、さらにHMBCデータからそれらの配列順を決定した。この段階で3つのエーテル結合の配置が不明であったため、NMRデータの詳細な解析ならびに化学シフトおよび結合定数の文献値との比較などにより、平面構造の結論を得た。6員環の周りの相対配置はNOEデータから決定し、鎖状部に存在する3連続した2級アルコールの相対配置もNMRデータから導いた。2,3,4-トリヒドロキシ-1,5-ペンタンジアミン部の絶対配置は、加水分解によって取得した当該フラグメントのビスMTPAアミドのNMRデータを合成標品の物と比べることにより、D-アラビトールと同じ配置であることを明らかにした。 2.大島新曽根産海綿Jaspis serpentina由来の細胞毒性物質同海綿の抽出物から、液液分配および逆相液体クロマトグラフィーなどにより、2つの活性化合物を得た。ひとつ目の化合物は既知化合物のpoecillastrin Cであったが、二つ目の化合物は類縁の新しい化合物であったため、poecillastrin Dと命名した。この化合物の平面構造を、機器分析データの解析により明らかにした。
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