本年度の研究で、グルコノアミジン型アフィニティーゲルを用いて、就眠運動のリズムを作り出す鍵酵素LOFG(Leaf-opening factor β-glucosidase)の精製に成功した。本酵素は、分子量150kDaの巨大な糖タンパク質であり、LC-MSを用いたdenovoシーケンス解析より、Family IIIに属するβ-グルコシダーゼであることが明らかになった。本年度はこの酵素のクローニングを目標に研究を行う。 また、アメリカネムノキの就眠物質であるジャスモン酸配糖体に関しては、生理活性物質の両エナンチオマーを分子プローブとして用いるenantio-differential法の開発により、研究に進展が見られた。今後は、植物のプロトプラストを用いる光親和性実験により、受容体の特定を目指す。 また、本特定領域研究を通じて継続してきた新規生理活性物質の探索についても、最近大きな進展が見られた。マメ科モデル植物としてゲノム解析が終了しつつあるミヤコグサの覚醒物質について、従来の精製法を再検討することで、精製に成功しつつある。本年度は、数mg量を確保することで、構造決定、合成を完了する予定である。また、ハエトリソウの記憶物質についても、低分子量活性物質の存在が示され、現在精製が進行中である。理化学研究所に設置されている800MHzNMR装置の利用によって、構造解析を目指したい。
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