研究課題
1)NF-κB阻害剤DHMEQによる癌の抑制および破骨細胞分化・活性化の抑制:私達はNF-κBを阻害する新しいシグナル伝達阻害剤としてDHMEQを分子デザインした。DHMEQは動物実験において乳癌モデルと甲状腺癌の増殖を抑制することがわかった。さらにDHMEQを使って骨代謝におけるNF-κBの役割を調べた。DHMEQは、マクロファージ細胞株RAW264.7および骨髄細胞由来マクロファージ(BMM)においてRANKL刺激でのNF-κB活性化を抑制し、さらに破骨細胞分化を抑制した。分化抑制の機構を解析したところ、DHMEQは、BMMにおいてRANKL刺激によるNFATc1の発現を抑制することが分かった。さらに、DHMEQは成熟破骨細胞の骨吸収作用を抑制した。最後に、DHMEQは、in vivoにおいてLPS誘導骨破壊モデルを抑制した。このようにRANKシグナルにおいて、NF-κBがNFATc1の発現を誘導していることが明かになり、DHMEQは、in vitroとin vivoの系において破骨細胞分化ならびに活性化を抑制した。2)血管内皮細胞の活性化を阻害する新規物質ヘプタデプシンの作用機構:LPS刺激により活性化した血管内皮細胞への白血球の接着を測定する実験系で抑制物質を探索し、前年度に新規物質ヘプタデプシンを発見した。今年度はヘプタデプシンの作用機構を解析した。ヘプタデプシンはLPS及びその活性部分であるlipid Aが誘導するHUVECへのHL-60細胞の接着を抑制した。表面プラズモン共鳴センサーを用いた解析によりヘプタデプシンはlipid Aと直接結合することが見出された。このようにヘプタデプシンはLPSと直接相互作用することでLPSが誘導する細胞内シグナル伝達を阻害することがわかった。天然由来低分子のヘプタデプシンは抗炎症剤等として有用性が期待される。3)チロシンキナーゼ阻害剤による固形癌細胞のPML nuclear bodiesの活性化:ATRAは白血病APL細胞においてPML nuclear bodies (PML-NBs)を活性化するが、同様に固形癌細胞においてチロシンキナーゼ阻害剤がPML-NBsを誘導することを見い出した。
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