研究課題/領域番号 |
16074217
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
城 宜嗣 独立行政法人理化学研究所, 城生体金属科学研究室, 主任研究員 (70183051)
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研究分担者 |
杉本 宏 独立行政法人理化学研究所, 城生体金属科学研究室, 研究員 (90344043)
永野 真吾 独立行政法人理化学研究所, 城生体金属科学研究室, 先任研究員 (60286440)
日野 智也 独立行政法人理化学研究所, 城生体金属科学研究室, 協力研究員 (40373360)
山田 斉爾 独立行政法人理化学研究所, 城生体金属科学研究室, 基礎科学特別研究員 (20360662)
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キーワード | 二原子酸素添加酵素 / ヘム / トリプトファン代謝 / X線結晶構造解析 / キヌレニン経路 / 老人性白内障 / 感染症 |
研究概要 |
金属イオンを活性中心に有するいくつかのタンパク質・酵素(金属タンパク質・金属酵素)を取り上げ、その分子構造、特に反応場である金属配位場周辺の精密な構造情報を基に、これらの生理活性や反応機構を分子レベルで理解することを目的に研究を進めた。本年度は、ヘム結合型二原子酸素添加酵素インドールアミン2、3ジオキシゲナーゼ(IDO)に関する研究において大きな進展があった。二原子酸素添加反応は、空気中の酸素分子から2酸素原子を直接基質に取り込ませる反応を触媒する金属酵素である。IDOは、トリプトファン(Trp)の生体内代謝の最初かつ律速段階のステップを触媒する。この反応の化学が非常にユニークである事に加え、必須アミノ酸Trpの約95%がこの経路で代謝されること、感染症においてIDOが爆発的に誘導される事、生成物のキノリン酸が神経毒であることなどなど生理学的にも非常に重要な酵素である。我々はヒト由来のIDOの結晶構造を世界で初めて報告した。この酵素は約50年前に当時京大医学部の早石修教授らによって発見されたが、それ以来の構造決定である。全体はαヘリックスで構成され、小さなドメインと大きなドメインのインテーフェイスにヘムが位置し、そこで配位空間を形成している。鉄の第五配位子としてHisのイミダゾールが配位しており、ヘム面に対してその反対側が活性部位、すなわち酸素分子が結合する空間が形成されている。この配位空間には、基質となるTrpも結合すると推定できるが、その近傍には、インドール環のNHを引き抜くことのできる塩基性の残基は存在していなかった。この結果と、配位空間を形成するいくつかのアミノ酸残基の変異体解析の結果を合わせて、反応機構を提案した。
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