研究課題
今年度は、前年度までに高いプロトン導電性を見出した(La1-xSrx)Sc03-δ(+yH20)(x=0.1-0.3)系化合物を対象としてLa L3、およびScK吸収端のXAFS測定を行い、組成の相違による材料中の金属イオンまわりの局所的な結晶構造の変化、および価数の変化を調べ、導電特性との関係を検討した。前年度行ったプロトン導電体試料のSr K-XANES領域のスペクトルの比較からは、Srのドープ量xが増加するにつれて吸収端の1s→4p遷移ピーク強度が減少し、Srの価数が減少する傾向が見られたが、La L3-XANES領域では、Srドープ量の異なる組成の問で相違が小さいことが分かった。一方、同試料のSc K-XANES領域のスペクトルの比較では、Sr K-XANES領域のそれと同様に、Srのドープ最xが増加するにつれて吸収端付近の吸収ピーク強度が減少することが分かった。この様な吸収端間での相違は、Sc06八面体に配位すると予想されるプロトン(あるいは重水素イオン)が形成するH+(D+)-O-Sc結合によって、ドーパントイオンであるSrイオン周りの局所構造が安定化していることを示唆する。更に前述のプロトン導電性材料と同様に歪んだペロブスカイト構造を持っLaSc03系化合物をベースとして混合導電性(プロトン-ホール(または電子)導電性)を示すことが期待される(La0.8Sr0.2)(Sc1-xMnx)03-δ(x=0.25-0.75)系化合物を調製してMn K吸収端のXAFS測定を行い、組成の相違による材料中のマンガンイオンまわりの局所的な結晶構造の変化、および価数の変化を調べた。その結果、これらの試料では、マンガンはMn3+/MM+の混合原子価状態にあると推定され、ホール導電性が発現するものと予想された。
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The Photon Factory Activity Report 2005 #23, Part B
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