研究課題
マントル遷移層の主要高圧相であるringwooditeやmajoriteの弾性波速度測定結果を地震波速度モデルと比較することにより、マントル遷移層の上部〜中部はパイロライト的な物質でできていることが示された。一方マントル遷移層の下部ではパイロライト、あるいはピクロジャイト的物質では弾性波速度が低過ぎ、ハルツバージャイト的なかんらん石を主体とした物質が適当であることが示唆された。このことはマントル遷移層下部に、大規模なハルツバージャイト的物質、即ちスラブの本体が存在している可能性を示す。一方で、マントル遷移層の主要構成鉱物であるwadsleyiteとringwooditeの電気伝導度が温度と含水量の関数として測定され、無水のwadsleyiteとringwooditeの電気伝導度はこれまで考えられていた値よりかなり低いこと、上部マントルの主要相転移により電気伝導度は半桁ほどずつ増加することなどが明らかにされた。この結果を上部マントルの電気伝導度分布と比較することにより、海洋下のマントル遷移層は無水状態である可能性が示された。一方でMORB組成(majorite+stishivite)に対して、弾性波速度、電気伝導度、粒成長実験などがおこなわれた。この結果粒成長速度は非常に低く、スラブのような低温下ではほとんど粒成長することなく、初期粒径が保存されることが明らかとなった。また、弾性波速度測定ではMORB組成のmajoriteの弾性波速度がかなり低く、一方で電気伝導度測定はからはこれが高い電気伝導度を示すことが明らかになった。これらの物性は、スラブの挙動に関して重要な影響を与えるものであり、今後これらの実験結果を総合したスラブの滞留過程のモデリングが大きく進展することが期待される。
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