研究課題/領域番号 |
16076205
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
HWANG Harold Y. 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (30361611)
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研究分担者 |
川崎 雅司 東北大学, 原子分子材料高等研究機構, 教授 (90211862)
十倉 好紀 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (30143382)
永長 直人 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60164406)
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キーワード | 強相関電子系 / 表面・界面 / 磁性 / 低温物性 |
研究概要 |
(1) 量子ズピシ系の熱ホール効果の理論的研究を行った。絶縁体量子スピン系の磁場下での熱ホール効果が、その基底状態の性質を反映して、(1)ゼロ熱ホール効果、(2)内因性熱ホール効果、(3)ローレンツカによる寿命の2乗に比例した熱ホール効果、の3種類の振る舞いを示すこと、特に、(3)は非閉じ込め相にあるスピン液体独特の特徴であることを見出した。 (2) 酸化物界面の電子伝導については、(1)完全に絶縁体であるSrTiO_3に有機電解質を塗り電気二重層コンデンサの原理を使って電界効果によりキャリアを蓄積し金属・超伝導化することに成功した。電界効果により超伝導を誘起した初めての例である。(2)ZnO/MgZnO界面の二次元電子ガスの移動度を20,000cm^2/Vsまで向上した。導電性ポリマーとZnOのショットキー全界面による可視光に応答しない紫外線検出器も作成した。 (3) (1)マンガン酸化物においては、強磁性金属相と電荷整列相の安定性が不純物元素に大きく依存することを示した。(2)超巨大磁気抵抗効果が観測される二相が拮抗する領域において磁気熱量効果が曙しく増大することを明らかにした。(3) 鉄における電流、熱流を用いたスキュー散乱誘起異常ホール効果の研究を行った。 (4) (1)SrTiO_3単結晶に光照射によって伝導キャリアを励起した状態の磁気抵抗から、最低ランダウ準位のみが占有編される量子極限状態が実現されていることを確認した。光照射によって実現した量子極限状態は酸化物系では初の成果であり、化学置換などの手法では実現が難しい低キャリア濃度での量子状態である。(2)酸化物ショットキー界面において原子スケールでのバンド・エンジニアリングを行い、ショットキー障壁高さを制御することを実現した。酸化物に特徴的な界面の分極不連続性を界面に垂直方向の伝導に応用した初の試みである。
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